
泣かぬ鼠が身を焦がす
第7章 馴染めば思う
それはちゃんと理由が……でも、なぁ
言ってもしょうがないし
「……」
「理由を言え。そうでなければまた同じことをし兼ねないだろうが」
同じこと、って
まだ俺ここにいていいってこと?
長い付き合いになるからってこと?
「……」
「頼む。教えてくれ」
段々言い方も丁寧になってきて、態度もしおらしくなった杉田さんに降参、と俺は口を開いた
「前に、さ……」
「うん」
「俺がお世話になってたとこ」
俺の会話に相槌を打ちながら杉田さんは質問を織り交ぜてくる
「前回?」
「いや、もっと前に……自分が与えられた部屋以外に入ったことがあって」
「あぁ」
「……」
言葉が詰まると、肩から腕にかけてを優しくさすられた
大丈夫って言われてるみたい
手、あったかい
「顔の形変わるくらいまで殴られたことがあるんだ」
「そんなに酷くか?」
「ん……それに、そいつの事情で救急車も医者も呼べなくて、ほとんどそのまま放っとかれて」
「それは、酷いな……」
あーーーほら
そんな顔させたくなかったから話さなかったのに
「でもまぁ、骨とか折れてなかったし、痣もちゃんと治ったしいいんだけど」
