
泣かぬ鼠が身を焦がす
第7章 馴染めば思う
こんな言い合いにくすくす笑って
なんか、今まで味わった事がないくらいに落ち着いてるな
なんて思った
「体調はもうほんとに大丈夫なの?」
「あぁ。明日からは仕事に復帰出来る」
「無理しないようにね」
俺が原因の一端なんだけど
そう思うと、ツキン、と胸が痛んだ
痛……何?
味わったことない痛みに動揺していると、杉田さんは俺の身体を引き寄せて抱き締める
「わかっている。ちゃんと気がつくことが出来たからな」
「そっか。……て、近くない?」
「いつもこうだろう?」
そう……だっけ?
なんか心臓が早いし
また緊張してるみたいに落ち着かない
でも杉田さんが言ってるんだしいつもと何にも違わないんだろうな
「もう寝る?」
「昼間大分寝ていたし、眠くないか?」
「いや俺どんだけ寝ても寝れる方なんだよね」
「そうか。俺もだ」
ふは
変な共通点
あんなに夜中に帰ってきて早朝にいなくなるくせに何がどれだけ寝ても寝れるだよ
「じゃー寝よ」
「おやすみ」
「……おやすみ」
やっぱりこの寝る前の挨拶はくすぐったくて、恥ずかしいまんまだけど
今日1日側にいて、心の面で杉田さんにすごく近づけたよつな気がした
