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[現代版] 天使と悪魔

第8章 それぞれの想い

・河合side

きっとあのときのトッツーはそうやって命を落としたに違いない。

そして俺もその後を追った

こんな記憶、取り戻したくなんかなかったわ。

NHKの楽屋で、五関から渡された黒い羽根が本当の悪魔に見えたくらいさ。

幸せだった俺たち。

それを奈落の底へ突き落したのは。



戸「う…んー」

河「はっ、トッツー2人共この話しは終りだ」

五「郁人」

河「トッツーが目を覚ます俺の気持ちは変わらない、以上」

塚「河っ…ハッ」

戸「どうしたの3人とも」

河「何でもないって、それより気分はどう」

戸「だいぶ良くなった気がする、フッ」

河「そっか ニコッ」

戸「河合」

河「んっ?」

戸「ずっとそうしててくれてたのか?」

河「あぁ ニコッ」

戸「身体、疲れさせてしまったんじゃ」

河「ばぁーか、そんなこと気にするなって」

戸「でも」

河「言ったろ?ずっと傍にいるって俺は約束は守る男だからよ」

戸「カッコいいこと言っちゃって、クスクスッ」

河「ふっ」



その笑顔だトッツー。

俺は、お前が笑わなくなるのが怖い。



五「郁人おまえ」



そうなった時それは、奴が現れる前触れのような気がするから。



塚「河合…」



俺にだって分かっていた、独りでどうにか出来る問題じゃないって。

が、それでも。



戸「今度またみんなで遊園地に行きたいな」

河「そうだな、フッ」

戸「あれ?ハッシー今日は来ていないの」

塚「あのねトッツー」

五「良亮は別仕事だよ」

戸「あっそうか、やだなぁ俺ぜんぜん日付感覚ないや」



こんなふうに話せている時はまだいい。

だが頭の中で奴が喋り出すとトッツーは豹変してしまう。

その声に怯え混乱し。

あれから、そんな事をもう何度も繰り返していたんだ

だから過去の全ての記憶を取り戻し。

原因を突き止めなければ、前には進めない。

そんなこと、俺だって分かってるんだよ。

けれど…

俺は五関や塚ちゃんの言葉に耳を貸さず。

自分で何とかしようと単独行動を起こしてしまう。

それが逆に奴からしてみれば都合のいい事だったなんて気づかず。

でも護りたかっただけなんだ!クッ

今度こそ俺は―

トッツーの輝くばかりの、この笑顔を。

そこに自分達の未来がある気がしたから。





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