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[現代版] 天使と悪魔

第11章 記憶の欠片

・戸塚side

俺はずっと北山に逢いたかった。

会いたくて凄く逢いたくて

おかしいだろ?NHKで、顔を合わせたばかりなのにさ。

でも…

そしたら河合が家まで連れて行ってくれ嬉しかったな

自分で外へ出ることもできないほど臆病になってしまった俺の気持ちを察し。



戸「ありがと大好きだよ」

河「トッツー、ふっ」



けど好きの意味が違う。

河合は、きっとこの時そう思っていたんだろうね。



河「メシにするか?」



俺はそれに全く気づかなくて本当にゴメン。



戸「うん、フッ」

河「よし、じゃあ準備して来るな」



あの日―

北山の胸の中で、その温もりを感じながら。

俺は、不思議な感覚に包まれている気がした。

それは…



戸「河合」

河「んっ?」



記憶の欠片だったのかもしれない。



戸「横尾に、会いに行ってみないか?」

河「えっ、なんで」

戸「ちゃんと、話した方がいいかと思ってさ」

河「なにを?まさか」

戸「今の自分の状態」

河「どうして、そう思うんだよ」

戸「分からない、ただ」



言われた気がしたんだ北山に。



戸「あいつなら力を貸してくれそうな気がするから」

河「確かに、そうかもしれないけどさ」



独りで抱え込むな、俺達を信じろって。



戸「河合だって、そう思ったから俺が混乱したとき、あいつを呼んだんだろ」

河「何故それを」

戸「塚ちゃんに聞いた」

河「あいつ、クッ」

戸「ダメだよ怒ったら」

河「‥‥っ」

戸「心配してくれているだけなんだから」

河「で、なんて?」

戸「“相談するなら横尾がいい”そう言ってた、一番頼りになるからって」

河「分かった、トッツーがそう言うのなら」

戸「ありがと面倒かけちゃって悪いね」

河「思ってないよそんなこと、でも」

戸「なに?」



このとき、もし。



河「今は帝劇の舞台の稽古中だしあいつらだって年明け早々のイベントを控えてる」



もう少し、自分の心が強かったら。



戸「それもそうだな」



河合をあんなに苦しめる事にはならなかったのかもしれない。

そう、後になって後悔することになる。

俺の全てを独りで、背負い込もうとした河合を知って





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