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[現代版] 天使と悪魔

第13章 慟哭の記憶④

・横尾side

薮「どうしてこんな事に」

横「とにかく、内の部落へ行ってみよう」

薮「宮田、塚ちゃん、クッ」

横「行くぞ宏太」



向かった先の内の部落でも



薮「なっ、なんで」

横「こっちもってことは」



そのとき俺はすぐ頭に浮かんだんだ。

逃げ込むなら、あそこしかないと。

けど…

万が一そこを攻められたとしたら逃げ場はゼロに等しい場所。

空から脱出する手はあったにしろ用意ではないに違いないし。

そう考えると―

果たして本当にそこにいるのだろうか?

もしかしたら他へ行ってる可能性もあるんじゃないか

俺は迷った…

こういった場合、少しでも判断を間違えたら命取りになる。

が、そんな俺の傍で宏太は



薮「瑞稀、ねっ?あの子は無事だよね」



旅行に行っている間、西の連中に預けていた俺たちの子が心配で。

そこら辺をウロウロし始め



横「宏太、落ち着け、内が一緒なんだきっと無事に、何処かへ避難している」

薮「でも」



パニック状態に陥ってしまって。

が、そのとき。



薮「ハッ、聞こえる」

横「ちょ、どこへ行くんだ宏太」



ダダッ!

こいつは、そう言うと突然走り出し。



横「おっ、おい」

薮「瑞稀が呼んでいる」

横「なんだって」

薮「俺のこと、呼んでいるんだ」

横「宏太、独りで突っ走るんじゃない」



俺は、慌てて後を追った。

だが母親とは、本当に凄いものだよ。



薮「渉ここ、この下にいる瑞稀、瑞稀いぃーっ」



このときほど、そう思ったことはない。



横「まさか」



そこは部落の入り口付近で息絶えた天使や悪魔が折り重なって倒れている場所。



薮「ママンだよ聞こえる、ねぇ聞こえたら返事をして」



そんな所の下に誰がいると思う。

しかし宏太は…



薮「どけて早く、この人達どけないと瑞稀を助け出せないんだから」



そう言いながら必死でどけようとしていて。

その姿に見かねた俺も仕方なく。



横「分かった分かったから」



そして何とかそこで倒れていた連中を全部どけたんだが、その場所に。

なんだ、この穴は?





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