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[現代版] 天使と悪魔

第13章 慟哭の記憶④

・河合side

そう思ったとき。



戸「俺なんかいなくなった方がいいんだ」

河「やめろ、なにをやっているんだ」



ガシッ!



戸「うっわあぁーっ」



とつぜん包丁を掴むと自分の腹を刺そうとし。



河「バカやろう二度とこんなことをするんじゃねぇ」

戸「だって俺なんか生きてたって、クッ」



冗談じゃないぞ!グイッ



戸「かっ、河合」

河「お前がいなくなったら俺だって生きてけねんだ」



その瞬間、俺の中で何かがプツンと切れた音がする。

ドサッ―

そして、気がついたら押し倒してしまっている自分がいて。

それからは…



河「なんにも分かってない俺は俺にとってトッツーはなぁ」

戸「あっ、河合いぃ」



ギシッ、ギシッ!

ただ無我夢中で、その身体を抱きまくった。

自分の想いの全てぶつけながら。



河「愛してる、愛しているんだトッツー」



こんなにも深く。



「ふっ、やっと抱いてくれたか。これで覚醒したな」



それも全部、奴の思惑通りだったとは知らず。



「しばらくは2人して幸せに浸っていればいい、それが長く続けば続くほど堕ちたときの衝撃は強くなるのだから、あの時と同じに」



これを機にトッツーが少し落ち着きを取り戻したこともあって。



「そのときが我がお前の中へ入り行動を起こすとき」



そのことに、全く気づきもしなかったんだ。



「あの世界ではお前の中にある情が邪魔をした、だからこそ植え付けてやった、その“記憶”本当のことを思い出させるわけにはいかないからだ」



前世でも、それがきっかけで覚醒したのによ。

どこまでバカなんだ俺は…



「さぁーしっかりと、その能力を覚醒させるがいい。その男の手によって」



不気味な気配が包み込む中

俺達は肌を重ね激しく愛し合う。

だがそれは現実逃避でしかなかったのかもしれない。

その苦しみから逃れる為の

悲しき恋は何処へ向かおうとしているのか?

分からないまま闇の中へ身を置き。

ただ、ひたすら光りを求めさ迷い歩いていた。

その束縛から解放されたくて。





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