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[現代版] 天使と悪魔

第18章 不安と兆候

・藤ヶ谷side

ふっ、参ったな。

俺は、自分の腕の中で眼にいっぱい涙を溜ながら。

眠ってしまった北山の顔を見て溜め息をつく。

こんなふうになるまで一体どんな夢を見ていたんだ?

誰にも言えず独りで苦しんでいたのか?

それじゃ俺も内も傍にいた意味ないじゃん。

ごめん北山…

その遣りきれない思いが、心に染み堪らない気持ちになる。

が、その時。



内「北山、寝たん?」

藤「内!」

内「しっ、大きな声を出すんやない起きてまうやろ」



お前、いつからそこに?



内「覚悟はしていたがとうとう来てしもうたみたいやな」

藤「えっ」

内「いまの北山の状態これは確実に記憶を取り戻す前の前兆や」

藤「じゃあ」



やっぱり、そうなのか。



内「いつかは、こうなると思うてた」

藤「なんとか、苦しみから解放してやる事は」

内「出来ん」

藤「‥‥っ」

内「転生した俺ら、誰もが通って来た道やし。いってみれば試練みたいなもんやから自分で乗り越えるしかないねん」

藤「けど見てられない」

内「お前が見とらんでどうする」

藤「内…」

内「こいつ幸せにしてやれるのは、お前しかおらへんのやで」

藤「それは」

内「しっかりせい藤ヶ谷、まだこれからなんやから」



確かに、そうだけどさ。



内「代わりはおらんのや、それは一番 俺がよう分かっとる。そやから」



えっ、今なんて言った。



内「そんなん驚いた顔するな」

藤「全部、わざとだったのか?」

内「そうでもせんと暴走しとったやろ」

藤「ぁ…‥」



内は言う。

もし俺が記憶を取り戻していない北山にキス以上の事

つまりは、感情に身を任せ抱いてしまったりしていたら。



内「こいつはますます独りで抱え込み藤ヶ谷に甘える事は出来なかったはずや」



だからこの日のことを予想し俺達の邪魔をするような事をしていたと。



内「シンメのお前が、自分にそんなことをしたらお前との事も悩みの1つになってもうて、心を開くことが出来なかったやろ」



それで、おまえ。



内「でも信じてたけどな」

藤「何を」

内「お前さっき自分でゆうてたやん、こいつと想いが繋がってからにするって」

藤「内…」






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