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[現代版] 天使と悪魔

第26章 慟哭の記憶⑦

・戸塚side

河合の話しは続く。

どのくらいそこでそうしていただろう?



河「俺達に、日にち感覚はなく目の前には」



囚われた郁祥の姿があり、迫る魔物たちの牙。

“さぁ、どうする?ニッ”

それを見て俺は、ある決心を固める。

そして―



戸「河合お願いがあるんだけど」



隣にいる、こいつに耳打ちしたんだ。



河「トッツー」



俺を見つめる瞳に、全てを託し。

お前なら言葉に出さなくとも分かるはずと。



河「その眼が言っていた、自分はいいから郁祥を助けてくれって」



頼む。

妖魔を倒すには他に手はない、そう思ったから。

それから持っていた刃で。



戸「グサッ、くっ」

河「トッツー」

戸「行って河合!」



ダッ―

僅かに残っていた理性。

どんなに気が狂っても親は子を護ろうとするもの。

グググッ!

“貴様、なにをする”

お前は実体のない妖魔。

誰かに寄生しなければ存在できないあやかし

“よせ、そんな事をしても我を消し去ることはできんぞ”

分かっている、それでも。



河「郁祥を離せぇー」



ザクッ!

目の前で、魔物と戦う河合の姿が薄れてく。

それを見つめながら…

さようなら願わくば神さま俺を転生させないで。

このままこいつと闇の中へ



戸「うぐっ、ハァハァハァ」

河「トッツー取り返したぜ郁祥を」



振り返った河合の姿がボヤけた視界の中に映った。

郁祥…郁‥ママンを…許して。

それを確認してから喉元に刃を当てると。

ザバッ!



河「トッ、トッツー」



ダッ!

ごめんね…河合‥ごめん…

駆け寄って来た、その腕の中で俺は。

温もりを感じつつ瞳を閉じる。

でも有り難う愛してくれて





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