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[現代版] 天使と悪魔

第4章 過去からの声

・玉森side

宮「知ってるタマこの泉には精霊が住んでいるんだってさ」

玉「なんの?」



えっ!?今度は俺も一緒にいる



宮「うんとねぇ」

玉「もしかして分からないとか?」

宮「でも絶対にいるんだ」

玉「どうしてそう言えるんだよ見たことあるのか?」

宮「ない」

玉「じゃあ当てにはならないね」

宮「本当だって」

玉「どうだか クスッ」

宮「信じてったら」

玉「見ることが出来たら、信じてあげる」



あれじゃ小学生のいや幼稚園児のカップルみたい。

どう見ても幼すぎ、クスッ!

夢の中でそれが夢だと思いながら移りゆく光景を見つめている。

その時点でおかしいと。

本来なら、気づくべきだったのかも知れない。

けれどあまりにもメルヘンチックな世界だったせいか

俺は暫くの間、なんの疑問も持たずその夢を見続けていたんだ。

ただ、いつもそこにはイヴがいて。

途中で消えては目を覚ます前に何処からともなくまた現れる。

そんな事を繰り返していたっけ。

イヴ、お前はいったい何者なの?

それが、ただの夢じゃないと気づいたとき。

俺の中で疑問が生じる。

もしかしてイヴとの出会いもまた運命だったのかと。

そして、後になって知ったその理由―

宮田、ありがと。

前世で俺より先に命を絶ったあいつが残してくれた物

その想いがイヴの魂と一緒になり、今も俺の傍にいるだなんて。



宮「精霊…さん‥お…願い‥俺の…代わりにタマを」



だから、今なら信じることが出来るよ。

確かに精霊はいたんだって宮田と一緒にね。

見続けた夢は、俺に自分のシンメの存在意義を改めて教えてくれた。

そして、そこに更なる強い絆が生まれた瞬間に。

俺達の中で何かが動き出す事となる。

けれど、そうなるまでには自分自身との葛藤が待っていたんだ。

前世を認めたくないという

宮田とそういう関係だったっていうのが嫌だったわけではなく。

あまりにもそこが、あり得ない世界だったって事と。

それから―

俺にはあいつにはない記憶があったから。

思い出したくもない数々の悲しい出来事が。

あの後に起こってしまったという事実として。

だからそれを認めたくなくて。

自然と心に、カギを掛けてしまったんだと思う

これは夢ただの夢なんだと





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