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(旧)短編☆中編小説集

第19章 魅入られて愛

・北山side

俺は今日、人生最大の勝負に出ようと心に決めていた

学校の帰り道あの仔は必ずここを通る。

この町きってのマドンナ、誰もが彼氏の座を狙い。

告白し振られた奴は数知れず。

そう言われている仔に自分の想いを伝える為。

待つこと数分―

来た!

片想いのまま終わらせるなら思いっきり気持ちをぶつけた方がまだマシだ。

勇気を振り絞り…



「あの」

「なに?」



が、その結果あえなく撃沈



「ごめんなさい、好きな人がいるんです」



いったい誰で?

こんな可愛い仔の想い受け取ってやらない野郎は。

くっそ!

苛々を当たり散らすかのように。

道端に落ちていた空き缶を蹴り飛ばした。

カーン!



「いて」



んっ?今なにか聞こえたか

“ニャアーッ”

猫?黒猫じゃん可愛いー

抱き上げれば…

“ゴロゴロゴロ”

咽を鳴らし甘えて来る。



北「お前うち何処?」

“にゃっ”

北「ねぇの?」

“にゃっにゃっ”

北「んだか、じゃ俺んちに来る?」

“にゃあっ”



しかし、これが間違いの元だったんだ。



母「ちょ宏光なにその猫」

北「そこの道端で、拾って来た」

母「ひっ、拾ってってどうするつもり?」

北「んなの飼うに決まってるじゃん」

母「団地ですよここ」

北「どこも飼ってるだろ、犬だっているんだぜ」

母「ダメです」

北「いいじゃん別に」

母「いけません」



が、そのとき。

猫の目が一瞬ピカッと光りを放ち、その瞬間。



母「まぁー可愛い猫」



おふくろ?



母「ちゃんと面倒みるんですよ、さてと母さんは買い物へ行って来るから」



バタン!

なにが、どうなってるんで

わけ分からないまま部屋へ行き。

ベットの上へ黒猫を乗せる

すると―



「うっあぁーふぅ」



うっそぉ!?

その身体は人間の姿となりいや違う。



北「だっ、誰で?おめぇ」



こいつ、頭に角みたいのが生えてやがるわ。



「黒猫さ、には見えないよな フッ」



当たり前だ。





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