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(旧)短編☆中編小説集

第20章 男と女の境界線

・藤ヶ谷side

争いのない世を維持する為

隣接する国同士、血縁関係を繋いでく。

“政略結婚”

各国の王家の中では、それが当たり前だったこの時代

俺にも―

幼い頃より親によって決められている許嫁がいた。

但し、会ったことはない。



大臣「もうすぐですな」

藤「なにが?」

大臣「お忘れですか?来年の春にはアストリアの姫と婚儀を行う予定であることを」

藤「あぁ、そうだったっけか」

大臣「あまり気乗りしない御様子ですが」

藤「どうせ気取った高慢ちきな女か可愛い子ぶりっこだろ」

大臣「きっと愛らしい姫に違いありません」

藤「ふっ」



どうでもいいさそんなこと興味ないし。

嫁いで来たって、お飾りのお人形さんみたいなもん。

子供だけ、作ればいいってわけ。

俺も年貢の納め時か、恋も知らず定められた道を行く

つまらない人生だぜ。



横「そんなふてくされた顔をするな一国の王となる身の奴が」

藤「わたはいいよな、自由でさ ハァ」

横「なに贅沢なこと言っているんだよ、なんの不自由もなく暮らせているだけでも有り難く思え」



確かに…

けど金では買えない物だってあるんだ。

特に愛は―

俺の母上はけして優しいとは言えない人だった。

プライドが高く。

こんな小さな国に嫁がされたのが余程いやだったんだろう。

生まれたばかりの俺を乳母に預け。

面倒を見ることもなく早死にしてしまってさ。

わたは、その乳母の息子。

俺たちは兄弟のように育ち今日まで来ている。





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