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(旧)短編☆中編小説集

第4章 3人恋模様

・藤ヶ谷side

中へ入れば赤いジュウタンが敷いてあり。



戸「そろそろ始まるよ俺達も席に着こう」



あれ牧師先生がいない。



北「なぁ?トッツー」

戸「しっ、黙って」



教壇の近くに立つ男。

あいつがその幼馴染みって奴みたいだが。

厳かに流れる、パイプオルガン。

扉が開き。

白いウェディングドレスを着た花嫁が。

ヴェールで顔を隠し、しずしずと歩いて来る。

あの後ろ姿は…



藤「宏光、あいつ」

北「あぁ間違いなく男だ」



と、そのときだった。



五「皆さん本日は俺達2人の為に、このような場所を用意して下さり誠にありがとうございます」



こりゃまた変わった結婚式だな。



五「さて見ての通り、この場に牧師さんはいません」



花婿が進行役をやるだなんて。



五「実は花嫁たっての希望により今日いらして下さった中の2名の方にぜひ立会人になって頂きたいとお願いしたく、このような形を取った次第です」



なるほど、そういうこと。



五「北山宏光さま、藤ヶ谷太輔さま、どうぞ前の方へいらして下さい」



へっ、俺らが!?

さっぱり意味が分からず、顔を見合わせる俺と宏光。

すると―

花嫁がゆっくりと振り返りヴェールを外して。



北「よっ、横尾さん!?」

藤「わた!」

横「久しぶり元気にしてた2人とも ニコッ」



どういうこと?これ。



五「君達ふたりがいたから今の自分がある、渉がそう言ってさ」

横「俺はお前らのキューピット、だから今度は」



俺達にそれをやれと?



藤「ふっ、どうする宏光」

北「もちろん、ニコッ」



向き合う花婿と花嫁。

指輪の交換を済ませた2人に俺達は言う。



藤北「では、誓いの口づけを」



チュッ!



“わあぁー”

“おめでとう”

“幸せになぁ”



パチパチパチ、あの日…



“自分の居場所を見つけた今までありがとう”



一通の置き手紙を残し俺らの前から消えてしまった、わた。

それが今―



横「お前らに出会えたお陰で俺は本当の自分を知る事ができた感謝している」



満面の笑みを浮かべ愛する人の傍にいる。

愛される喜び愛する幸せ。

どちらも手に入れた、わたは輝きに満ちていた。





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