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「私で出来ることであれば何なりと
お申し付けください」
「簡単なことだ。本條グループの事業存続と
全従業員の雇用保証だ」
「もちろんです。しかし私一人の力では……」

水谷文乃が尾崎をちらっと見た。

「尾崎。手伝ってやれ」
「承知致しました。それよりも社長は今後
どうなさるおつもりですか？」

「社長」と呼ばれたが否定はしなかった。

尾崎にしてみれば「社長」なんて
単なるあだ名みたいなものだろう。

逆に「本條さん」と呼ばれてしまうことに
俺は照れてしまうかもしれない。

尾崎はその辺りのことを見越して
いつもと変わらず「社長」と
呼んでいるのだろう。

本当にデキた秘書であり
俺の一番の理解者だ。