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ちよこれいと

第1章 ちよこれいと

「きゃっ!」

驚いて振り返ると、すぐ後ろにニッコリ笑顔の先輩が……。

ち、近いです……

「むしろその方が都合良いんだけど」

えーっと、何に都合が良いんでしょう?
私はチョコを渡して、お茶いただいたら、帰りますから。

キッチンに戻る先輩の背中を見て部屋に向き直る。

ちょっと迷ってラグの隅に腰を下ろした。じんわりと暖かい。

ここ、机ないけど先輩の部屋……だよね?
本棚に教科書あるし。

コート掛けとベッドと本棚。シンプルな部屋。
そういえばリビングにテーブルセットと食器棚はあったけど、テレビって置いてあった?

確かめようとリビングを振り返ったら、ちょうど先輩がお茶の乗ったお盆を手にしたところだった。

「あ、てつ……」
「良いよ。座ってて」

咄嗟に立ち上がろうとして止められる。

「って、何でそんな端に座ってるの?」

クスクス笑いながら先輩が入って来た。
私より大分中央寄りにお盆を起き、その向こうに胡坐をかく。じっと私を見つめて手を招く。

「オルカ、こっちおいで」

目じりの下がった優しい笑顔。
キュンと胸が音を立てた。

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