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ちよこれいと

第1章 ちよこれいと

「ね、オルカ……もしかして今、がっかりした?」

沈んだ気持ちを言い当てられて、慌てて右手を左右に振った。

「なっ!してません!」

がっかりなんて、そんな、そういう事を期待してたみたいな……そんなことありませんから!

「……違うの?」
「違います」

思い切りよく否定をすると、先輩がゆっくり身体を引いた。

「なんだ……残念」

小さく呟かれた言葉。

残念?残念って……?
期待していた方が良かったってこと?
でも……私には何もする気がしないんでしょう?

……わからない。

黙って紅茶を飲む先輩。何だか不機嫌?居心地が悪くなる。

チョコ、渡して帰ろう。

熱い紅茶を冷ましながら、可能な限り急いで飲んだ。

せっかく良い香りなのに、急いで飲むと味わい半減。

お茶を飲むのに気を取られ、先輩がお盆をベッドに移したことに私は気付いていなかった。そしてその間を詰めてたことも……

「気に入らない」

不意に降ってきた言葉と共にマグカップが奪われる。

「えっ?」

驚いて見上げたそこに先輩の顔。
その近さに心臓が跳ねた。
先輩は口角をキュッと引き結び、まっすぐ私を見つめてる。

ちっ、近いし!
……な、何?
私何かしましたか?
先輩の距離感、近過ぎです。

思わず後ろにずり下がって。マグカップをお盆に置いた先輩にすかさず距離を詰められた。

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