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ちよこれいと

第1章 ちよこれいと

ぼんやりコンビニの袋を見つめていると、ふわっと背中が暖かくなった。

「どうしたの?動けない?」

耳のすぐそばから聞こえた少し低い先輩の声。
私を足の間に挟むように座って、お腹に両腕を回してくる。

……私、先輩に抱き締められてる?

そう自覚した途端、顔が熱くなった。
ドキドキし過ぎて身体が緊張する。

「オルカ、緊張してるの?」

耳元で響く柔らかな声。
熱くて甘くて溶けちゃいそう。

「可愛い」

クスクス笑われてくすぐったい。
少しでも離れようと身体を前に倒したら、先輩が更に上からのしかかってきた。

「ダーメ。逃げないで」

吐息が掛かってゾクゾクする。

お腹に回された腕にキュッと力がこもり、先輩の胸が背中に引っ付いた。伝わってくる鼓動。私と同じくらい早回し。

突然の展開に、抱き締められていることに、軽くパニック状態だった私は、先輩の早い鼓動にちょっとだけ気持ちが落ち着いた。

先輩も、ドキドキしてる……

「オールカ、チョコちょうだい」

甘えるような先輩の声。

耳元でそんなの、凶器だわ。

震える手でチョコの包みを取り出した。

「開ーけーて」

言われるがまま、包みを開き

「取ーって」

チョコを一粒指で摘む。

「食べさーせーて?」

っえ!?
あーんって先輩、ちょっと待って?

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