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ちよこれいと

第1章 ちよこれいと

見上げたすぐ右に眉ねを寄せた先輩の顔。
先輩が左腕で私の肩を抱き、右手を私の顎に添える。クイッと掬い上げられて、間髪入れずに重なる唇。


えっ!えっ!
ええーっ!?

びっくりして目を見開いて。
間近に迫る先輩の長い睫毛と少し寄せられた眉ね。ドキンと心臓が跳ねて、ギュッと目を閉じた。

「っ……ふぁ……あっ」

温かく柔らかい唇が離れては重なって、を繰り返す。
強引に奪われたのに、先輩のくれる口付けは優しくて。甘いチョコの味がする。

ど、どうしよう……
溶けちゃういそう……

時々軽く下唇を柔く噛まれて、そのたび背中がゾクリとする。

「っん……あっ……」

キスなんて初めてで、上手く息することすら出来ない。
ちょっと苦しい。
苦しいけど、気持ち良い……

頭の中がボンヤリし始めた。
また下唇を甘く噛まれる。チュッと音をたてて唇が解放される。
思わず大きく息を吸った。

「ごめん、苦しかった?」

身体を起こした先輩が心配そうに聞いてくる。
ゆっくり首を左右に振ると下がり眉のままふっと微笑んだ。

「涙、出てるよ」

言いながらそっと拭ってくれる。
温かい指先。

ああ、私、先輩が好き。

改めて湧いてきた実感に、またジワリと涙が浮かぶ。
優しく拭ってくれる先輩。

「オルカ」

柔らかな笑顔で私の名を呼ぶ。その声に、心が震える。

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