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ちよこれいと

第2章 おまけ

不本意に湧いた根拠のない噂のせいで織歌の態度はますます硬化する一方で。ただでさえ靡かない織歌は俺の方すら見てくれなくなった。
俺には一切向けられない笑顔も、報われる事のない久富には大盤振る舞い。その一分位は俺に向けてくれても罰は当たらないんじゃね?

全く持って思い通りにいかない織歌。

何となく気になる女の子は気付けばいつも隣で笑ってた。俺にとってはそれが当たり前で、こんなにガン無視された事なんてない。なのにどうでもいいと思えなくて。こんな風に女の子を特別に思った事もない俺は、どうすれば良いのか見当もつかない。
あまりの空回りっぷりに諦めようと思って、誘われるまま身体を重ねてみたけれど、諦めるどころか違和感が増すばかり。仕舞いにはどんなに迫られても勃たなくなる始末。
夢の中では織歌にあれこれしてんのになぁ……
高二にして不全とか笑えない。
終わってる。

何の手立ても打てず、当然何一つとして改善しないままに迎えたバレンタイン。
いつもは断らないチョコレート。
義理でもなんでも、俺のために準備してくれるなんて嬉しいし?そんな女の子を可愛く思うし?チョコ好きだし?お袋喜ぶし?
でも今年は一つも、受け取る事が出来なかった。
理由は分かってる。

――――応えられない、から

前はそんな事、気にした事もなかったのに……

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