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ちよこれいと

第2章 おまけ

久富を見つめたままの織歌が気に入らない。そんなに心配そうな顔で見てんなよ。

「おーるか。こっち向いて」

織歌の頬を両手で挟んで無理やり視界を動かした。
目が合ったと思ったのは一瞬で、すぐに織歌の視線はぶれる。

そんなに俺と目を合わせたくない?

「織歌ちゃん、僕の事嫌い?」

思わずそんな事を聞いてしまって激しく後悔。でも、返ってきたのは

「嫌い、じゃありません」

耳を疑いたくなるような言葉で。
沈んてた気持ちが一気に急浮上。浮かれついでに

「誰かに渡す予定あり?」

なんていらんこと聞いてみたり

「ありません」

そう淡々と答える織歌に

「じゃあ織歌のチョコ、僕に頂戴」

とか、調子に乗ってお強請りしたりしてみた。

「誰にもあげない」と言う織歌を勢いでそのまま言いくるめ、手を繋いで帰ることにどうにか成功。

すげー、奇跡が起こってる。

女の子と手を繋いで帰るのがこんなに嬉しいとか思った事ない。誰に声を掛けられても笑顔で返すって、俺そんなキャラじゃないハズなんだけど……

調子よく歩きながらふと見下ろして、さっきにも増して織歌の顔色が悪くなってる事に気が付いた。

「織歌?」

名前を呼んでも歩みを止めない。

「織歌!おーるか!」

立ち止って繋いだ手をクンッと強く引っ張った。ビクリと肩を揺らし、ようやく織歌が立ち止る。
恐る恐る俺を見上げて。

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