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ちよこれいと

第2章 おまけ

それでもやっぱり心配で。
手っ取り早くコンビニでチョコを買って貰うことにした。

俺にとって重要なのは織歌が俺の為にチョコを買って渡す事。それを理由に家に誘って織歌の記憶に残る事。ホワイトデーの約束を取り付ける事。
チョコを貰うこと事態が無理やりだから、家に来て貰うなんてハードルが高過ぎる。当然断られると思ってた。今夜はお袋の帰りも遅いし……
でも思った以上に返事を躊躇した織歌。

あれ……もしかしたら、もしかする?

イエスもノーも言わない織歌の手を引き、念願のチョコを買ってもらった。

「早く帰ってチョコ食べよ?」

指と指を絡めて手を繋ぎ、笑顔で織歌を覗き込む。
思いっきり泳いだ目線。

……ちょっとは意識してくれてるの?

嬉しくなって、ついクスクスと笑ってしまった。

織歌と手を繋いで歩いてる。
ただそれだけの事がすごく嬉しい。彼女の手に俺へのチョコが提げられてるのがまた、良い。
さっきから頬が緩みっぱなしな自覚がある。ずっとこうしていたいけど、歩けば距離はなくなるもので。
アパートの扉の前で足を止め、織歌の方へ振り返った。

「今日、お袋夜飲み会。俺一人。うち、上がる?」

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