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ちよこれいと

第2章 おまけ

うぉ、だっせ
緊張し過ぎて変な喋りになった。

無言で見上げられて恥ずかしい。

「それとも、ここでチョコくれる?」

誤魔化したくて首を傾げて笑って見せて。

「それで、サヨナラ」

そんな事、ちっとも望んでいないのに……

「どう、しよっか?」

なんて

「俺はもちろん上がって欲しい。でも、オルカが決めて」

選択は織歌に任せる。
断られるのは目に見えているけれど、流石に無理には連れ込めない。わずかに感じた可能性、俺はそれに賭けるしかない。

黙り込んだ織歌。
迷ってくれてる、それだけでもう嬉しい。

「オ ル カ」

名前を呼んで覗き込む。
織歌の頬がじわりと赤くなった。少しの沈黙の後

「……もう少し、一緒にいたいです」

返された言葉。飛び上がりそうな気持ちを飲み込んで。

「うん。俺も一緒にいたい。それは、どっち?上がる?上がらない?」

再確認。
だってそれと男の家に上がるのとは別だと思うから。

ね、織歌。上がるって言って笑ってよ。

「…………お邪魔、させてください」

小さく震えた織歌の声が、頭の中でこだまする。

『お邪魔、させてください』だって……
やっべー俺ニヤケてない?

キーホルダーを取り出し、ドキドキしながら鍵を開ける。

「どうぞ」

扉を大きく開いて、織歌の瞳をじっと見詰めた。

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