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ちよこれいと

第2章 おまけ

急いで身体を離し、織歌を見下ろした。赤いままの顔と少し荒い呼吸。つい口元が緩んだ。
だって、可愛くて。
そーっと目を開けられて、絡んだ視線。

「もっとする?」

「しません!」

あーあ
ホント、俺学習しない。
織歌にこういうのはダメだって。

またしても遅すぎる後悔とともに身体を起こした。同じミスを繰り返す自分が情けなくて笑えてくる。

「ゴメンね、織歌」

織歌は起き上がって制服を整えてる。俯いたままの彼女を下から覗き込むと、無言で見詰め返された。
キュッと寄った形の良い眉。

「……許し、ません」

「そう……だよね」

当然の答えに落ち込んで

「ゴメンね」

謝る声が小さくなった。

「……も、良いです」

…………

何やってんだろ、俺。
失恋したばかりの織歌に無理やりチョコ強請って、家に連れ込んで
って、これさっきも反省したよね?
ホント、最悪。

「私、帰ります」

ポツリと呟かれた言葉。

それが何となく寂しげに聞こえたのは、俺の幻聴?

織歌が顔を伏せたまま俺の隣を通り抜けた。
見上げた顔は泣きそうにも見えて。

チョコの入ったコンビニ袋をその場に残し、織歌がまた俺の隣を行き過ぎる。
咄嗟に手を掴んでいた。

「チョコ、ちょうだい」

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