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ちよこれいと

第2章 おまけ

小さな背中のすぐ後ろに身を屈めて。

「どうしたの?動けない?」

織歌を両足で挟むように腰を下ろした。
逃げられたくなくて、お腹に腕を回して包み込む。
強張った身体。でも目に入る頬っぺも耳も首も全部が真っ赤で。胸に触れる織歌の背中から伝わる彼女のドキドキの早さに口元が緩む。

「織歌、緊張してるの?」

そう聞くと腕の中で織歌が小さく震える。

「可愛い」

愛しくて、嬉しくて笑いが溢れてしまった。
前屈みになって織歌が離れようとする。僅かな隙間も開けたくなくて、覆い被さるように抱き直す。

「ダーメ。逃げないで」

お腹に回した腕を引き寄せ、身体を密着させた。
今までになく、心臓がドキドキしてる。女の子抱いて、こんなにドキドキするとか織歌が初めてなんだけど……
それに負けず劣らず織歌がドキドキしてるのは、ちょっとは自惚れても良い、よね?
俺のドキドキも織歌の背中に伝われば良い。

ねぇ、織歌
これから先に、希望をちょうだい?

「オールカ、チョコちょうだい」

ピクンとすくんだ織歌の肩。
震える手でコンビニのレジ袋からチョコの包みを取り出してくれる。

「開ーけーて」

ガサガサと紙の開く音。

「取ーって」

織歌は俺に強請られるまま、無言でチョコを一つ摘まんで。

「食べさーせーて?」

そこでビクッと動きを止めた。
瞬時に熱くなった身体。

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