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ちよこれいと

第1章 ちよこれいと

「しました」

私がゆっくり頷くと、先輩は見惚れてしまうくらい嬉しそうに笑った。

「良かった。否定されなくて」

眩しいなぁ。先輩の笑顔。
でも、私、一度した約束を反故にするように思われたってこと?
……そんな私のチョコが、欲しい、の?

疑問に感じても口にする事は出来ない。

不意に強く、腕を引かれた。
バランスを崩して先輩の方へ倒れこむ。先輩は握っていた手を離し、ごく自然に私の腰へ腕を回した。

「じゃ、行こうか」

え?
な、何?
先輩、先輩、身体が……半分密着してますよ?

私の困惑をよそに、上機嫌で歩き始める先輩。

あ、いや……ちょっと、待って。
腰に腕を回されるなんて、初めてなんです。
どうやって歩けば良いの?
両手はどこに?

ギクシャクと歩き方がおかしい私。
離れようとしてみたけれど、その度しっかり引き寄せられる。

「オルカ、ちっちゃい。良い匂い」

耳の上でコツンと頭がぶつかった。
腕にギューッと力が入る。

!!!

ねぇ、先輩。
さっきからちょっと変ですよ。
私にこんなに引っ付いて、どうしたんです?

「チョコ、コンビニで買って」

はい?

「早く欲しい。もう、待てない」

そんなにチョコが食べたいの?

……欲しいのは、チョコだよね?

あぁ、私、勘違いしそう。

「あ、買ってその場で渡すのなしね」

どうして?

「お茶出すから、うちに来て」
「…………」

思わず足の動きが止まった。

うち?
先輩、の?

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