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【イケメン戦国】とらぶる・とらべる(信長・政宗・幸村)

第2章 第2話

「『ふぁみりーれすとらん』。なかなか洒落た店ではないか。」

「こんな食い物見たことがないぞ。どんな味がするんだ?」

「佐助、文字が読めねぇ………。」



店内をキョロキョロしたり、メニューに釘付けになっていたり、椅子の上であぐらをかいたり。

各々の反応は様々。


が、行動や発言が現代ではやや不審で、周囲の視線が痛い。


しかし、信長様も政宗も幸村も、物珍しさでそんなことはお構いなしだ。



「これは南蛮のぶどう酒か?」

「はい、信長様はぶどう酒をご存知なんですね。」


「絵がずいぶん生々しいんだな。」

「うーん…絵じゃなくて写真なんだけど………。」


「文字が読めねぇ………。」

「信玄子飼いの赤備え、文字ではなく『しゃしん』で好きなものを選ぶがいい。」

「織田信長っ!てめーにだけは命じられたくねえ!!!」


「幸村、口喧嘩も……この時代では罰せられるから。」

(いやいや、そんな法律はないけど……。ナイス、佐助くん!)


「めんどくせーな。じゃあ俺、これにするわ。」


「皆さん、決まりましたかー?注文しますよー。」


結局、佐助くんがまとめてくれて。

信長様は、ステーキとワイン
政宗は、スパゲティと青菜炒め
幸村は、オムライスと唐揚げ

賑やかに夕飯を終えたのだった。



▶▶▶

その頃、戦国時代ではーーー。


「家康。信長様と政宗を見なかったか?」

信長と政宗を探していた光秀が、家康に声をかけていた。



「ちょうど俺も探していたところ。天主は確認しました?」


「ああ。天主には誰もいなかった。」


「涼莉の姿も見当たらない………」


「確か信長様のお供で、政宗と涼莉も城下へ出掛けていたようだが。神隠しにでもあったかな?」


「そんなバカな話あるわけないでしょう………」


「突然の嵐で雨風が強かったからな。涼莉もいないのであれば、どこかで雨宿りでもしているのであろう。」


「ま、そんなとこでしょ。」


まさか3人揃って、五百年先の世にいるとはつゆ知らず、至って呑気なやり取りが交わされていたーーー。


▶▶▶
3話へ続く

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