【イケメン戦国】とらぶる・とらべる(信長・政宗・幸村)
第3章 第3話
翌日、私たちは新幹線に乗っていた。
なにせ幸村は、敵陣営の人間。
様々な史跡を見て回るよりも、現代の象徴とも言える東京観光をした方が、喧嘩になる確率が低いだろうという佐助くんの発案だった。
「『しんかんせん』とやらは馬より乗り心地が良い。佐助、安土から京の都までは『しんかんせん』では何日で着くのだ?」
「新幹線じゃないですけど、電車で1刻ほどです。」
「ほう。そんなに早いのか。便利な世だ。」
「おいっ!信長っ!!!今は見逃してやるが、いずれはお前の首、必ずとってやる!俺の故郷をめちゃくちゃにしやがって……必ず取り戻して見せる!!!」
「故郷……。思い出に浸るとは何とも呆けた話だが、貴様の顔と名は覚えておいてやろう。赤備えの真田幸村。」
「ふざけんなっ!!!」
信長様と幸村に不穏な空気が流れ出すが、それを遮るように、目をキラキラさせた政宗が言う。
「こんなに速い馬に乗っているのに、風が感じられねえ。おい、この透明の板は外れないのか?」
「こんなもん俺の槍があれば、信長の首と共にぶち抜いてやるっ!」
「そういえば、信玄子飼いの赤備えは槍の使い手だと聞いている。貴様、敵ながら相当腕が立つらしいな。」
「てめーに言われても嬉しくなんかねえっ!なあ、佐助?」
「幸村。ここは仲良く………」
「できるかっ!!!」
「刀さえあればこんなもんすぐにでも切り崩してやるんだが……刀がないと面白くねえ。なあ、幸村?」
「ほんっと、つまんねーよな。稽古すらできねー。」
「稽古?お前、案外マジメなんだな。」
「政宗は稽古やらねーのか?」
なんだかんだで、政宗と幸村の波長が合ってきて、ホッと胸をなで下ろす。