テキストサイズ

マーメイドな時間

第2章 受け付けに……

 私は動揺をしないようにするため、目だけでも隣にそらした。


 だが、良からぬことを想像してしまった。


 隣の受け付け嬢も、同じ体勢をしている。と、言うことは、裸になれば、この受け付け嬢と、同じ状態になっているということではないか。


 目を隣に向けた後、前に戻すと……脱ぐ前と脱いだ後の状況が確かめられて……。


「お客様、どうされました?」


「えっ!?」


「顔が赤いですよ? 体調でも崩されましたか?」


「いや、なんでもない」


 いかん……我を忘れてしまっている。


 私はプレゼンに来たのだ。


 代表で来ているのだ。


 こんなことでは、会社に恥をかかせてしまう。



 ん?





 ……いや。






 待て……ちょっと待て……私はいつも、企画や商品のプレゼンをする時に、相手さんに失礼のないように、気を張ってきた。


 だが、裸で対応している、この受け付け嬢は、失礼にあたるのではないかっ!?


 となれば、こんなのを採用して、受け付けを任せている、この会社の質はいかがなものか?


 ここはキチンと、言った方がいいだろう。


 人間社会にあるまじき行為。


「なんだね君は……それが、客を迎え入れる態度なのかねっ!?」


 言ってやったぞ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ