テキストサイズ

マーメイドな時間

第2章 受け付けに……

「大変、申し訳ございません」


 裸の受け付け嬢が、私に深く頭を下げた。


「私が、なにか粗相を……」


「隣を見なさい」


「はい?」


「隣を見てみろ。キチンと制服に身を包み、名札もつけているではないか。君は名札をつけていない」


 ちょっとキツいかもしれない。でも、露骨に裸を指摘するよりかはいいだろう。


 だが、これでいい。これで、超一流に1つ押しを入れてやった。


 こんなバカげたことは、三流会社の者でも認める訳がない。


 まったく、この会社は、社員にどんな教育をしているのだ。


「大変、失礼をいたしました」


 受け付け嬢はそう言って、再び頭を下げた。


「名札をつけていなかったことは、私のミスでございます。ご指摘いただいて、ありがとうございます」


 そう言って、受け付け嬢は台の下から名札を取り出した。


「えっ!?」


 そして、名札の後ろの安全ピンをはずすと、尖った針の先が鈍い光を放った。


「いや、ちょっと待て……」


 自分が指摘したのはそうだが、本質が違うんじゃないかい?



ストーリーメニュー

TOPTOPへ