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マーメイドな時間

第18章 寿司屋に2

 いろいろ考えているうちに、寿司屋に着いた。


 もちろん営業中だ。


 休んでもらっては困る。人魚の寿司。これが食べたくて来たんだ。


 問題は品切れになっていないかどうか……。


 寿司屋の扉を開ける。


「っらっしゃい!!」


 威勢のいい、かすれたハスキーボイスだ。








 ん? ハスキーボイス?


「なににいたしましょう?」


 俺は呆然とした。


 目の前にいるのは、テレビで記者会見をしていた、あのβの人魚の天龍源一郎(あまたつみなもとのいちろう)だ。


 なぜ、寿司職人をしている?


 すると、店の親方が「驚いたでしょう。テレビに出てた人魚ですよ。この男、寿司は握れないんですが、魚を捌くことに関しちゃ、この道40年のあっしでも一目置いてしまいまさぁ。新鮮な魚の目利きもたいしたもんでねぇ。だから、うちで雇ったんでさぁ」と言う。


 親方、あんたすげえよ。


 けど、人魚寿司が頼みにくい。


 天龍源が仕事をする。


「お客さん、今日はいいネタ入ってますよ。ヒラメ、こはだ、人魚、鯛、マグロのビントロも脂のってますよ」


 ハスキーボイスでも、ハッキリ聴こえる。 てか、人魚って言ったよな。



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