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マーメイドな時間

第2章 受け付けに……

「部長、こちらが○○会社の……」


 いや、この心持ちで紹介されても……。


 しかし、あの足でどうやって立つんだと思っていたら、駒つきの椅子に座っていたのか。


 そりゃ動けるはずだ。


 いかん……いま、相手さんが、名刺を出していろいろ話しかけてくれている。


 会釈と相槌だけではダメだ。


 余計なことは考えず、私も自己紹介をして、名刺を出した。


 よし、少し飛び越えた話を、投げ掛けてみようじゃないか。


「あ、こちらの受け付けの方は大変、丁寧に対応してくださって、すごく助かりましたよ」


「うむ、今年から入った豆井戸優菜(まめいどゆうな)くんだ。少し、おっちょこちょいなところがあるがな」


 普通に返してきた……。この実在のアンデルセン童話を目の当たりにして、なにも思わないのか?


 もう慣れたというのか?




 ……いや



 ……違う。


 これはこの会社の、マスコットキャラクターの衣装と言うなら話がかわってくる。


 ゆるさを凝縮させたらこうなったのか?


 それなら、この受け付け嬢は並の芸人さんより、体を張ってることになる。




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