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マーメイドな時間

第2章 受け付けに……

「あそこにわが社のマスコットキャラクターがいるんですよ。ぜひ、見てやってくれませんか」


「えっ!?」


 企画部長が手で示す方向を見た。



 そこには、みどり色でトゲトゲしい、大きな丸い玉子型の着ぐるみがいた。


「あれの名前は、おはるどんと言うのだ」


 言われても、何者かわからない。どう名前と形状が関わっているのか?


 どう見てもサボテンだが……インパクトだけは、この生の受け付け嬢には及ばない。


 私は、すべてを払いのけて、わが社のプレゼンに全力をかけた。


 受け付け嬢の問題はどうでもいい。


 重要なのは、これなのだ。





 プレゼンは大成功。私は、自分に勝った。


 すべてをいい方向に納め、私は、この土産をわが社へ、持って帰ろうとこの会社を出た。


 その時だ。



「野田目様、先程は申し訳ございませんでした。ご忠告ありがとうございました」


 あの受け付け嬢だっ!!


 私の名前を覚えていてくれたんだ。


 私自身も忘れかけていたと言うのに……。


 だが、このまま無視して帰っては、今度は向こうに対して失礼だ。


 私は、振り向いた。




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