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マーメイドな時間

第25章 野田目幹太と寿司屋の親方

「AB型の人間は人魚の姿を見りゃ、最初は驚くんだ。だが、それ以外の人間は人魚が放つ超音波的な歌を受け取ってるから、普通にいるものだと認識する」


「なぜ、AB型だけ?」


「それはな、わしの血液型がAB型で、いま、地上にいる育った成人魚は、すべてわしの子供なんじゃよ」


「なんだって!!」


 そうか、だから、会社へプレゼンに出向いた時の、受け付けにいた人魚に、自分は違和感を感じたんだ。


「気をつけろよ兄さん」


「えっ?」


「AB型の人間は、今度は人魚の餌食になる」


「なんだって……」


 なんだこの展開……親方の話だけで、えらい展開になってくる。


「私は人魚の存在におかしいと感じている人に、血液型を聞いたら、すべてAB型だったんだ。そして、この前、天龍源がうちにきた」


 数週間前……


 店に来た天龍源。


「あなたは、我々の人魚の父の存在。あなたには死んでもらいたくない。生きてもらいたい」


「ど、どういうことだ?」


「この世界を、我々人魚と、人間が共同できる世界にしたい。だが、我々の魅惑の歌が通用しない者は、死んでもらう」


「なぜ……殺す必要はないだろう」


「パニックを起こされては困る。もう、我々人魚だけでなく、河童族や、フライングヒューマノイドも力になってくれている」



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