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マーメイドな時間

第1章 部屋に……

「問題は出来たの?」


 尾ビレをピタピタさせながら、その容姿で言われても……。


「いや、まだです……」


「うん、わからないとこがあったら、恥ずかしがらずに質問してね」


 いや、このシチュエーションが恥ずかしいだろ。


 それに、わからない質問は山ほどあるよ。


 まず、尾ビレつけてる家庭教師なんて、あり得ないだろ。


 しかも、鮮魚の卸売市場みたいな匂いがするし……。


 どうやってここまで来たんだ?


 なにを経由して、うちの母親と知り合った?


 よく、騒ぎにならなかったものだ。


「あの……先生……」


「はい、どこの質問かな?」


「いや……名前聞いてなかったなって……」


 この先生、部屋には名乗って入ってきたのだろうが、先に容姿が目に飛び込んできて、いろんなことが真っ白になった。


「え!? 聞いてなかったの?」


「ごめんなさい」


「私は山本茂晴美(やまもとしげはるみ)」


 まさかの自分の逆パターン!?


「茂」の字、いらなくないですか?


 名字の「山本」が無くとも、フルネームが成立してるよね!? 



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