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マーメイドな時間

第7章 グループホームに……

「……はぁい?」


 耳が遠いのよ。


「あ、ま、み、さん、ちょ、う、し、は、ど、う、な、の、?」


「はい、ローレライは私の幼馴染みよ」


 なにを言ってるのかしら?


 よくわからないわ。


 天海さんは、いつも車椅子でね、上半身は裸だけどね、下はちゃんと毛布をかぶせてるの。


 足の冷えはきびしいのでしょうねぇ。


 私も、分厚いもも引きをはいてるのよ。


「天海さん、お風呂の時間ですよ」


 昭美さんが、大きな声で、天海さんを呼ぶ。入浴の時間なのね。私も今日、入るのよ。


「はぁあぁあぁ〜〜い」


 なぜ、昭美さんが相手だと、返事にこぶしをきかせるのかしら?


 天海さんは、私の方に向いたの。


「お風呂、お先にいただきますねぇ」


「はい、ゆっくり温まってきてねぇ〜」


 私は手を振って、見送った。


 すると、施設の事務所の方がやってきて「あ、小幸さん。入浴の前に、面会の方が来てるわよ。若いお兄さんですよ」と教えてくれた。


「あら、あの子だねぇ。いろいろお世話になったのよねぇ」


 大変な時に、お世話になった青年がいるの。名前は言えませんけどねぇ。



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