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マーメイドな時間

第11章 桃太郎に……

 少々、苛立つやつだが、今までの話よりはインパクトは強い。人面犬、まさか都市伝説を直視できるなんてな。


「報酬は?」


「お腰につけたきびだんご、ひとつ私にくださいな」


 そこは一緒か。


 しかも安いな。こんなんで、命懸けの戦に参加するのか。割りに合わんだろ。


 逆に申し訳ない。


 僕は、この奇怪な犬をつれて先を急いだ。


 すると人里離れた森の中で……



「待て」



 誰だ?


 野太い声で止められた。


 流れで言えば、ここはモンキーだ。


 だが、目の前にいたのは、髪を金色にし、眉毛は薄く、背中に虎の刺繍が入った赤のスカジャンにダメージジーンズをはいた男。


 ……これは、なんだ?


 キツいにもほどがある。


 時代設定をなめてるのか?


 てか、俺は何太郎になるのだろうか?


「あの……なんの用ですか?」


「あっ?」



 イヤや〜、こんなやつぅ〜、むっちゃ見てくるやん。


「おい、あんた、噂に聞く、桃太郎ちゃうん」


「はい」


 桃太郎だけど、あんたが桃太郎じゃなくしてるんだよ。



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