けだもの系王子
第7章 聖矢、腹黒系?
自分のマンションの部屋に入って荒い呼吸を繰り返す。
まだ心臓がドキドキしている。
あんなキスをされたら誰だってこうなる。
工藤 聖矢。
なんなのあいつは。
あたしの事気に入ったとか。
自分はしつこいからとか言っていたけど。
冗談じゃない。
あたしには婚約者がいる。
両親に決められた金持ちの息子。
今は大学院生で薬品関係の研究をしている。
卒業したら親の薬品会社を継ぐ事になっている。
将来を約束されたエリート。
会社を継ぐと同時に結婚予定。
親の命令で毎月1度は会っている。
結婚するまではと清い関係。
大学に行く間だけの自由。
つまらない人生。
婚約者に愛を感じる事もない。
向こうだってそうだろう。
今週の日曜日。
婚約者と会う約束になっている。
なんてことない。
ただのキスだ。
「あいつ……、ムカツクっ……!」
ごしごし、唇を擦った。