けだもの系王子
第7章 聖矢、腹黒系?
「そんなに食べるのに、なんでそんなにスレンダーなの?」
呆れたような聖矢の顔。
あたしはニヤリと笑う。
「実はあたし金持ちのお嬢様なのに体を動かすのが大好きで、昔から空手とか柔道、合気道、なぎなた、いろいろやったな、でも飽きやすいのよ。
今はもう大人だから習い事はしてないけど習慣で毎朝ジョギングしてるの。
あと夜は最近ヨガにはまってて、専用のマットもあるのよ」
ふふんと自慢気にヨガに使うマットをリビングから持って来て聖矢に見せる。
「あんたも一緒にやってみる?」
「麗奈さんとマット運動?」
ニヤリと甘く笑いながらぎゅっと抱きしめられて、慌てて離れる。
「やっぱりいいっ、あんたとだったら変な事しかしないからっ」
「変な事って何?
麗奈さんのエッチっ」
甘い雰囲気になりそうになり、絡まる聖矢の腕から逃れる。
「早くっ、パスタ作ってよっ」
「僕は先に麗奈さんを食べたいけど……」
「パスタっ!
作れよっ!」
ブーブー言いながら作らせる。
なんだかんだ言いながら喧嘩もするけど。
あたし達は毎日会っているし。
毎日毎日セックスをしている。
聖矢はあたしが好きだと言ってくれるけど。
あたしはそれに答えない。
今だけの関係だから。
あと、1、2年したら別れはやってくる。
「今日は泊まりはダメだからね。
明日は親と毎月恒例の会食の日だから」
シーフードのクリームパスタを食べながら言うと聖矢の瞳が鋭く光り睨むようにあたしを見つめた。
「ひょっとして、あいつと会うの?」
図星でパスタが喉にぐっと詰まりそうになる。
「なんでっ?」
「勘だよ?
あれからちょうど一月くらいたつし、そういえばあの時もお嬢様みたいにかしこまってたから……」
「そう。
何も言われなかったからそのままにしてたけど、あの人はあたしの婚約者なのよ。
大学卒業して結婚する約束をしているの」
あたし達は黙って見つめ合っていた。
「あと、1、2年先の話だけど。
あたしの将来は決まっているの」