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けだもの系王子

第2章  聖矢 、子犬系?







もう少しで屋上に着く。






「藤谷さん?」





後ろから、呼び止められる。





「藤谷 早希さん?」






「はい?」






足を止める。






振り返ると、3年の先輩がいた。





斎藤先輩。





確か風紀委員で、朝の慌ただしさで、自転車の乱暴な乗りかたとかで、何度か注意を受けた。





真面目できっちりした人。





密かに憧れていた。





「あのう、あたしまたなにかしました?」





心当り有りすぎる。





ぴしりとした雰囲気にドキドキする。





綺麗な顔立ち。





「いや、そんなんじゃないんだ。君を見かけたものだからつい……気が付いたら追いかけていた」





「はあ」





首をかしげる。





「いつも一緒にいる工藤君は君の彼氏?」





聖ちゃんのことだろう。






「そんなふうに見えます?聖ちゃんは幼馴染みで妹みたいな存在です、いとこなんですよ」






「いとこ……?そう、じゃあ、問題ないかな?藤谷さん、俺と付き合ってください」






あまりにもさらりと言われてびっくりする。






斎藤先輩が階段を1歩ずつあがって近付いてくる。







急に甘い雰囲気になって動揺する。







「えっと、付き合ってって、ちょっとそこまでとかそういう?」





「もちろん、違うよ?」





くすりと甘く笑う。





気が付いたら、あたしの目の前に先輩の顔があった。





「君の事が好きなんだ。気が付いたらいつも目で追って……、うるさいこと言ってごめん」






「そんなことっ……」





なんて言ったらいいのか分からない。





お互い見つめ合う。





「返事はいつでもいいから、それじゃあ……」





すっとあたしから離れていく。





背が高い、綺麗な後ろ姿をぼぅっとした気分で見つめる。





その先輩と聖ちゃんが、すれ違った。






あれ?






いつから、いたんだろう?







たん、たん、たん。






聖ちゃんがゆっくり階段を上る。






「聖ちゃん?」






あたしと目を合わさない。






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