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けだもの系王子

第8章 涼、蓮、意地悪系?







「セフレでもいいからさ、お前の体が忘れらんねぇんだよ」





「こんな所でそんな話はやめてっ……!」





ぎゅっと右手を掴まれる。





相変わらずの強い力。





振りほどけないっ。





「だってお前アドレス変えたろ?
けど俺は変えてねぇから、勿論こんな画像だってまだあるわけだしな?」





言いながらスマホの画面をあたしに見せる。





1年前のあたし。





髪が短いけど裸で横向きに挿入された姿。





涙を流してるけど、恍惚とした表情。






健也の顔は見えないけど、相手は健也だと分かる。





あたしは息を飲む。





ショックで体が凍りついたように動けない。





青ざめるあたしの前を、大きな手が横切った。





その手はスローモーションみたいに。





健也のスマホをあっさり奪った。





「何すんだっ。
お前っ、蓮っ?」




涼先輩だった。





無言で健也のスマホを奪いピッピッと素早い動作で画像を消去してSDガードを抜き取る。




悲鳴をあげる健也の前でSDカードを踏みつけて粉々にする。




「蓮っ、お前何考えてんだっ!
ふざけんなよ!」




涼先輩の腕を掴む健也の腕を掴んで離して鋭く睨みつける。




「悪いけど俺は蓮じゃない。
蓮の双子の兄で涼だ。
ついでに言うと由宇の彼氏だから、店長が警察呼ぶって言ってたけどどうする?」




「俺が何したってんだよっ!」





「当店のウェイトレスの嫌がる手を無理矢理掴んだでしょう?
ここはそういう店じゃないんで、困ったお客さんがいたらすぐに警察を呼んでるからね?」




少し離れた場所で店長がいて、黙って頷いてる。





何故だかウェイターが並んでいる。





健也は回りを見渡して舌打ちをうちながら席を立った。




「ありがとうございました」




またのお越しをとは誰も言わなかった。

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