けだもの系王子
第8章 涼、蓮、意地悪系?
「今日店に来たんだ……」
「まぁ、あいつもあの性格だからな?
お前が可愛いくてついいじめすぎて、そんな自分が嫌になって突き放して、すぐにまた会いたくなって、でもお前にはもう彼氏がいてって、まるでストーカーだな?
気持ちが分からなくもないけど、不器用でただの馬鹿だ、だせーな?」
「そんなの信じられないよ」
「まぁ、そうだろうな?
お前は、涼の事だけ信じとけばいんだよ」
「……!」
当たり前だ。
あたしが好きなのは。
涼だけで。
前の彼氏も関係ない。
もう終わったんだから。
今、目の前にいる人は。
涼じゃない。
切れ長の瞳は鋭くて。
目付きが悪く。
冷たく輝く。
「じゃあな、由宇」
背中を向ける後ろ姿が。
なんだか、寂しそうに見えた。
………………。
何故だか胸が痛んだ。
気のせい……。
だよね……。