けだもの系王子
第8章 涼、蓮、意地悪系?
今日は土曜日。
休日だからゆっくりできる。
「おはよう、由宇。
体はつらくないか?
朝ご飯食べれる?」
目を覚ましたらエプロン姿の涼が、屈んでベッドにいるあたしの顔を覗き込む。
「涼?
……おはよう」
なんだか照れ臭くて俯くあたしに優しくキスをして、
「おいで?」
キッチンへと案内される。
コーヒーの香り。
テーブルの上に並べてある朝食。
そのテーブルに蓮がいて、がつがつ朝食を食べてる姿が見えた。
「おいしい〜
エッグベネディクトっ、朝からさらりと作れるとかさすが〜
どうやったら作れるんだろ?」
「今度作り方教えてあげるよ?」
お店のキッチンを手伝うから涼は料理が上手だ。
「こいつに料理はさせない方がいいぞ」
蓮が横から口を挟む。
さっき軽く自己紹介しあって、友達の知り合いで顔見知りだと蓮は言っていた。
「えっ?
どうしてよ?」
ギクリとして蓮を睨む。
「涼が教えたとしても変な事に成りかねないからな?
ここでは絶対一人で台所立つなよ?」
「お前自分の家みたいに言うけど、そろそろ出てって欲しいんだけどね?
由宇を連れて来づらいだろ?」
「俺は気にしねぇし、こいつの声がでかかろうが、お前らがイチャつこうが、タイプじゃねえしな?」
「なっ?」
かあっとして赤くなりながら蓮を睨む。
涼がニヤリと笑って蓮を見据える。
「へえ?
俺とお前は昔から同じタイプが好きになるのに?
由宇なんか、どう見ても俺達の好みだろ?」
「ちょっと、涼っ!」
蓮はニヤリと笑いながら涼を睨む。
「まぁ、そうだな。
ぶっちゃけ、好みだよ?
お前より先に出会ってたら、俺だってどうなったか分かんねぇ、お前の方が先に会っただけじゃねえか?
顔だって一緒だしな?
だけど、こいつが俺に惚れたらどうすっかな?」
チラリ、妖しい流し目で見つめられる。
「なっ、冗談じゃないわよっ」
ガタンっ、思わず席を立つ。
ニヤニヤ笑う蓮。
涼の瞳が鋭く光りあたしの顔をじっと見つめる。
「俺は由宇を信じてる。