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けだもの系王子

第2章  聖矢 、子犬系?







あたしは、はぁ、はぁ、荒い呼吸を繰り返して聖ちゃんを見つめる。





「さきちゃんは僕のものだからね?それを分からせてあげるから、今日はこれで許してあげる」






あたしの目をじっと見つめる。





いつもみたいに甘えた顔じゃない。





挑戦的な鋭い瞳。





女の子みたいな顔立ちが、はじめて男の子の顔に見えた。





これは誰?





聖ちゃんなの?





「聖ちゃんあたし……先輩のこと……」





好きかもしれないのに……。





「そんなの、ダメに決まってるでしょ?脚下だよ?」






軽く睨まれ、プイッと背中を向けて、ドアの鍵をカチャリと開ける。






バタン。






激しく扉が閉まる。






あたし一人残して、聖ちゃんが、怒って行ってしまった。





呆然として、暫く動けなかった。





あれが聖ちゃん?






女の子みたいな顔立ちで苛められっ子で。






いつも泣きながらあたしの後をくっついて来て。






弱いから一緒に空手を習ったけど、嫌がってサボリがちだったくせに。






あの力は何?






どうしてあたしが抵抗できなかったの?





まるで敵わなかったのはなんで?





身長だって、そんなに高くない方だ。





あたしの身長が162センチ位で、少し高い程度なのに。





ずっと空手を習ってたのに。





信じられなかった。






女の子みたいで弱いと侮っていたから、余計にショックだった。

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