けだもの系王子
第9章 椿、真面目ぼっちゃん系?
「はぁっ?……ひゃあっ……?」
ちゅっ。
椿さんの形のいい唇があたしの手に寄せられて、
キスをされていた。
暖かい唇の感触にビクリと手が震える。
「可愛い…ちいちゃん、高校生?危ないから家まで送るよ?」
危ないのはあんただろっ?
言いたいのに言えない。
手を払いたいのに何故だか動けない。
「高校二年生ですっ、近いから大丈夫ですっ……あのっ……手を……ひゃあっ」
ちゅっ、また、キスをされてしまう。
暖かい唇の感触にビクリと痺れるような感覚がして、また熱くなる。
なんか、ヤバイ。
この人、柔らかそうな雰囲気なのに、流されそうになる。
「ちょっと、いい加減に……っ」
叫んで手を払いのけようとしたのに、その手が逆に引き寄せられてしまう。
力が強くて抗えない。
転がるように抱きしめられてしまった。
「なっ……ちょっと、いい加減にしてっ」
「ごめんね、可愛いくてつい……ちいちゃん、ちっちゃいね……」
ちゅっ、今度は頬にキスをされた。
ああ、ダメだ、こんなのもう耐えられない。
椿さんの腕から逃れて、蹴りを腰に一発いれようと思ったのに、スッ、と体が離れて行く。
流れるような動作でかわされて、当たり前のように手を引かれて歩きだす。
「暗くなると危険だから、ちゃんと家まで送るよ」
だからっ。
危ないのはあんただろっ。