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けだもの系王子

第9章 椿、真面目ぼっちゃん系?





家に入って玄関に真人兄ちゃんがいて、びっくりする。



真人兄ちゃんはあたしの義理の兄貴で血が繋がってない。



未婚の母は一人であたしを生んで育ててくれて、あたしが保育所で仲良くしていた真人兄ちゃんのお父さんと結婚したんだ。


昔は優しいお兄ちゃんだったけど、今は苦手だ。



いつも不機嫌そうにぶすっとして、鋭くあたしを見据える。



お父さんに似て美形で綺麗な顔立ちなのに、性格が……嫌い。



「なんだあれ?彼氏か?」



玄関の壁に寄りかかって、明らかに見ていたことが分かる。



「はあっ?違うしっ?」



ただいまも言わずに真人兄ちゃんの傍を通る。



昔は優しいお兄ちゃんだったんだけど、大学生になってからイライラする事が多い。



喧嘩したくはないから、さっさと部屋に行こうとした。



そのあたしの両腕が掴まれて壁に押し付けられた。



「彼氏じゃないのに、お前はキスするのか?」



「痛いっ、放してよっ」



掴まれた腕が痛い。



ダンッ!



壁に手をついて激しい音に驚いて目を瞑った。



何を怒ってるんだろう。



そのあたしの唇に暖かい感触がして、驚いて目を開く。



キスされてる?



真人兄ちゃんに……?



気付くのに時間がかかった。



「んんっ……!」



抗おうとして声を漏らし、そこから真人兄ちゃんの舌があたしの口の中に侵入する。



「はっ?……あっ?」



激しく舌があたしの舌に絡められて、抗えば抗うほどに絡められて、熱く吸われて頭の中がぼうっとなる。



「……やっ……お兄ちゃんっ……!」



激しく抱きしめられてあたしの着ている服が淫らに乱されて胸を揉まれてしまう。


驚いて固まるあたしを無視してあたしのジーパンが脱がされて悲鳴をあげる。


ずるずる壁を伝ってしゃがみ込んで自分をまもろうとするのに。



そのあたしの体の上に真人兄ちゃんが覆い被さった。



「いやっ……!……お兄ちゃん何を……っ?」



「何って分からない訳じゃないだろっ?」



「やだやだ、誰かっ……!」



「父さんは宿直、母さんは夜勤、こんなチャンス、俺が逃がすと思うか?」



お父さんは医師でお母さんは看護師。



両親は昔から不在が多い。

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