けだもの系王子
第9章 椿、真面目ぼっちゃん系?
椿さんの顔を見た瞬間、泣きそうになった。
おかしいよね?
昨日初めて会ったのに、よく知りもしない人なのに。
顔を見た瞬間、安心して、思いきり抱きついて、その胸に飛び込みたいって思った。
弱気になってる自分がいる。
おかしい、こんなのあたしじゃない。
がさつで前向きで、男の子と喧嘩しても負ける事はなかった。
あたしは強い、どこかで自信を持っていたのに。
そんなあたしを真人兄ちゃんが、無理矢理、力で捩じ伏せた。
敵わない、あたしは弱い、女の子なんだと思い知った。
こんなにも、女だと……弱い自分を知ってしまった。
こんな弱い自分は嫌い。
知りたくなんか、なかった。
朝、目が覚めて。
いつの間にか自分の部屋のベッドの上に寝かされていた。
体のあちこちが痛くて。
体が重くて、足が鉛のように重い。
夏休みだから学校はないけど、がっつりバイトの予定がはいっている。
身支度をする為にシャワーを浴びて驚いた。
血がたくさんでていた。
あたしのあそこから……。
真人兄ちゃんの姿がなかったけど。
これが紛れもない事実。
変わってしまった自分の体を見て涙を流す。
変わってしまった、変えられてしまった、無理矢理、強引に。
大嫌いな真人兄ちゃんに。