けだもの系王子
第9章 椿、真面目ぼっちゃん系?
椿side
行きつけの病院にちいちゃんを連れて行き、念の為に検査をしてもらった。
馴染みの先生に呼ばれて診察室に入った。
「椿君、彼女は、君の新しいフィアンセでも何でもないのかな?」
「だったらいいとは思ってるけど、何なの急に?」
先生は言いにくそうに口を開く。
「彼女ね、貧血と睡眠不足、まぁ、点滴すれば元気になるけど、ちょっと気になって椿君に聞いてみるんだけど……、君はそんな事をするとは思ってないが、言っていいのかな?」
「彼女の事なら何でも知りたいから、教えて下さい」
「彼女、レイプされた形跡がある、貧血もそこからきてるんだと思う、余計な事かもしれないが体液も検出出来たけど、どうするかね?
君の家的に調べたほうがいいかね?」
……レイプ?
ちいちゃんが?
いつ?
誰に……?
体の体温が急激に冷えていく。
「……調べて下さい、どこのどいつか、俺が……裁いてやる……!」
吐き捨てるように呟いた。
診察室を出て、何となくトイレへ向かう。
……レイプ?
ちいちゃんが?
まだ、高校生だぞ。
二年生と言っても、あんなに小さな体で、細いのに。
それを誰かが力ずくで……!?
不愉快な想像が俺の頭の中で浮かび上がり、映像のように繰り返されるシーン。
泣きながら抵抗するちいちゃん、細い体が見知らぬ男に組み敷かれる。
払っても、払っても浮かびあがる。
泣き叫ぶちいちゃんの顔。
元気がない顔。
あんな顔をさせた奴、俺が絶対許さない……!
家の財力投げうって、犯人を徹底的に裁いてやる……!
トイレの洗面所で鏡の中に写る、俺の顔が、ひどく獣じみた表情に見えて。
吐き気がした。