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けだもの系王子

第9章 椿、真面目ぼっちゃん系?





「椿さんは優しいからあたしをただ保護してくれただけかもしれないけど、あたしはっ、椿さんが、好きなのっ……!」



がばりとそのままの勢いで椿さんの体に覆い被さって、その唇に自分の唇を押し付けた。



今のあたしはいつもの男っぽいあたしじゃない。



コスプレのメイドだし、女の子としての魅力もある筈だ。



その事がこの大胆な行動を後押しする。



椿さんを誘惑する。



だって好きなんだもん……。



ぎゅっと抱きついてキスをした。



願いを込めて。



伝えるように。



大好きって……。




「ちいちゃ……っ……!」



椿さんの暖かい唇に自分の思いを込めて、唇を重ねる。


何をしたらいいとかも分からないけど、ただ、唇を寄せて、ぎゅっと抱きついて、無我夢中だった。


椿さんは戸惑うようにあたしを受け止めて、その暖かい手があたしの頬に触れた。



「ちいちゃん……そんな事されたら、いくら俺でももう、押さえが効かなくなる、震えてるけど……恐くない?」


「恐くなんかない、椿さんなら何をされてもいいも……!」



何をされてもいいもんって、言おうとしたのに。



そのあたしの唇が塞がった。



椿さんの唇によって。



あたしの頭を優しくつかんで、何度も角度を変えて、貪るようにキスをされる。



「好きだよ……、ずっと、我慢していた……君が怯える男の姿を見せられないって……ずっと思っていた……、俺だって真人と変わらない、ただの獣のように君を傷付けたくはないって……思っていたんだ……」


ハァ、唇を離して、熱い吐息がかかり、至近距離で見つめられる。



「俺だって余裕はない、優しく出来ないかもしれない、ちいちゃんを怯えさせて、嫌われたくはないんだ、みっともないだろう?」



「椿さんならいいの、椿さんがいいの……」



好きだから。



また、唇が重なる。



熱い舌が優しく絡められて後頭部がぐっと寄せられて、より深く口づけられる。



「ンンッ…ンンッ!」



熱く舌が絡められて、頭の中がぽうっとなる。



舌先から痺れるような快感。

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