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苛立ちながらも彼女の体を、そっと抱き上げる。



抱き上げた瞬間、ピクリと涼が動いた気がしたが、何も言わない。



ただ、じっと、俺の腕の中にいる、唯夏ちゃんを見つめている。



愛しそうな瞳で。



彼女の体は、気を失ってるのに、ひどく軽く感じて、その事がただ無性に悲しかったんだ……。





誰かに呼ばれている。




あたしの名前を呼ぶ、あなたは誰……?




どうして泣いているの？




何があったの？




……泣かないで。




あたしはここにいるから……。