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けだもの系王子

第10章 涼、束縛系?





「唯夏……朝だよ?」



目が覚めたら、エプロン姿の涼が、目の前にいた。



「……おはよう」




ぼぅっとしたまま、体を起こす。




ちゅっ。




頬に柔らかい感触。




唇を寄せてスッと涼の体が離れた。




目が合うと甘く笑う。




優しくて甘い雰囲気に戸惑う。




……えっと、昨日あたし、あのまま、寝ちゃったのかな?




自分の体を見下ろす。




男モノのTシャツとショーツはちゃんと履いてる。



これ、涼が着せてくれたの?




「着替えて支度しておいで?朝食の用意は出来てるから、俺も会社に行くからね?」




「はぁい」




返事をすると、クスリと甘く笑う。




ちゅっ。




また、頬にキスをされて、離れていく、綺麗な顔を赤くなって見つめる。




「なに赤くなって可愛い、何回もキスしているだろう?目が覚めた?」



「うん、覚めたよ?」




「俺が着替えさせてあげようか?体、つらい?」




スッと涼のしなやかな指が、あたしの着てる服にかかり、慌てて首を振る。



「大丈夫だからっ、すぐに支度するねっ?」




笑いながら部屋を出ていく涼に違和感を覚える。




そっか、今日は平日だから、涼は会社に行くんだ。




あたしも、バイトに行くし。




前来た時は涼は休日だったから。




バイトに行かせてもらえなかった。




それだけの理由だったのかな?





身支度をすませて、昨日と同じ服だけどしょうがない。



今日はこのまま、真っ直ぐバイトに行こう。




涼が用意してくれた、完璧な朝食を和やかに、一緒に食べて。




一緒に片付けを済ませて、涼も会社に行く準備をする。



スーツに着替えた涼が、




「唯夏?」




あたしの名前を呼ぶ。




何故だか緊張するあたしの顔の前に、鍵を見せてくれた。




「ここのマンションの鍵を唯夏に渡すから。
会社から帰ったら、君がいてくれたら嬉しい。バイトが終わったら、ここに戻って来てくれる?」



「うん、もちろんっ、今度はあたしが晩御飯作って待ってるよ」

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