けだもの系王子
第10章 涼、束縛系?
鍵を受け止めながら頷く。
嬉しそうな涼の顔。
あっ、なんか、可愛い……。
甘く揺れる瞳がゆっくり近付いて、唇が重なる。
優しく甘く舌を絡められて、こたえるように舌を絡めた。
「…ハア…ヤバイね…これ以上は…したくなるから……、出ようか?」
溜め息をつきながら、色っぽい表情で促される。
頷くあたしの目の前でマンションのキーが解除される。
カードキーなんだ……。
ピーという電子音。
『解除、しました』
安堵の溜め息をついて、涼の視線に気付いて、見つめ合う。
「唯夏、俺の元に帰って来てくれ」
「ちゃんと帰って来るから、涼の元に」
また、軽くキスをして、そのままあたしの胸元にキスをする涼の動きが一瞬止まる。
それから満足そうに笑って、スッと体を離して、一緒にマンションを出た。
途中まで一緒に歩いて涼は駅に向かい、あたしはバイト先に向かった。
不思議と体調は万全だった。
また、ここに帰って来る。
涼と一緒に過ごせる。
その事が嬉しかった。